この度、宮原秀夫 前会長から会長職を引き継ぐことになりました、大阪大学医学系研究科心臓血管外科学の澤 芳樹です。
本法人は、大阪大学臨床医工学融合研究教育センター(現・大阪大学国際医工情報センター)内部の地域連携協議会を発展させ関西地域の臨床医工学情報学分野の人材育成に積極的な大学が中心となり医療機関や企業と連携して設立されました。
この臨床医工情報学分野は私たちの生活に密接にかかわる重要な融合領域と言えます。日本の総人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は、年々上昇しており2025年には30%を超えると予想されています。一方、少子化の減少には歯止めがかからず日本における生産労働人口にも大きな影響が出ており課題が山積しています。
これらの解決策の一つと目されているのが人口知能(AI)およびデータサイエンスの活用です。今、様ざまな領域から膨大なデータの収集が可能となりました。それらは個々の社会課題の解決に向け新たな価値を読み解く力になります。私たちの社会を豊かに安心して生きがいを感じる福祉社会を築くため、この臨床医工情報学分野においてもAIを駆使できるメディカルデータサイエンティストの次世代の育成が重要なポイントであると信じております。これまで以上にこの分野の高度人材育成に力を注いでまいります。
ここ、中之島の近くには大阪大学の医学のルーツともいうべき「適塾」がありました。緒方洪庵は、西洋医学を学び、果敢に医学の道を切り開き日本の医学の礎を築いた人物です。幕末当時の感染症の代表は天然痘です。洪庵はオランダの文献から牛痘種痘のワクチンの存在を知り、日本全土約190か所もの種痘所、つまり予防接種を受けられる医療機関の設置に奔走しました。現在、COVIT-19の影響により、医療現場のみならず社会的にも大変な局面を迎えています。しかし、これまでの歴史をかえりみますと、様ざまな感染症に見舞われ、多くの犠牲もありましたが、それらを乗り越えて今があります。過度に恐れすぎず冷静な判断のもとに行動していく必要を強く感じております。
これまで本法人の発展にご尽力いただきました皆さま方に感謝を申し上げるとともに、今後さらなる事業の発展に力を尽くす所存でございます。何卒、引き続きご支援ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2020年7月